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RX2000 -ストップトフロー法について-

ストップトフロー測定アクセサリーRX2000

ストップトフロー法 - 高速化学反応速度論の研究のための技術

ストップトフロー法は、溶液中の反応速度論研究のために用いられる数ある手法の中のひとつです。ストップトフロー法の最も単純な形態の場合、2種類の反応物溶液を混合チャンバー内へ押し出すことで高速に混合させ、観測セルへ混合液を流します(フロー)。そして、ある時間が経過した後に、観測セルへの混合液の流れが突然止められ(ストップ)、吸光や蛍光、円二色性といった適切な分光法的プローブを用いて反応をモニターします。それにより、時間変化に対する分光シグナルの変化を記録することが可能になります。 右下図は、一般的なストップトフロー装置の概略図です。この図中のストップメカニズムはストップシリンジです。フローはプランジャーがトリガースイッチにぶつかるまで、ストップシリンジを満たします。プランジャーがトリガースイッチに到達すると同時に、フローをストップして測定を開始する仕組みです。

ストップトフロー・シングルミキシング構成図

反応速度定数は、測定データを適切なモデルにフィッティングすることにより得ることが可能です。

ストップトフロー装置の性能は、概ねデッドタイムにより決定されます。そして、デッドタイムは反応物溶液が混合されてから測定が開始されるまでの最短時間と定義されます。つまり、デッドタイムとは、溶液が観察セルに導入されてからの経過時間と本質的に言うことができます。ある種のストップトフロー装置におけるデッドタイムの限定因子は、混合チャンバーから観測セルまでの距離と、フローがストップされる瞬間の最終的な速度です。一般的にストップトフロー専用装置であれば、デッドタイムをミリ秒オーダーを達成することが可能です。そして、非常に小さな観測セルを使用することで、デッドタイムは0.5ミリ秒まで短縮することが可能です。しかし、真の実験的限界は、2種類の反応物溶液の混合スピードです。

ストップトフロー・ダブルミキシング構成図

3液混合はストップトフロー法のバリエーションのひとつで、2種類の反応物溶液(AおよびB)がプレミキサー(Pre-mixer)にて混合された後に、エージング・ループへ導入されます。そして、設定したエージング時間が経過した後に、この混合溶液は第3番目の反応物溶液(C)と混合され、上記と同じ要領により反応を観測することができます。 右図は3液混合仕様のストップトフロー装置の概略図です。サイズの異なるシリンジを使用することで、シンプルな1:1混合以外の混合比でのストップトフロー測定が可能になります。いわゆる非対称混合と呼ばれるこの方式は、ストップトフロー法でしばしば要求される測定方法です。

アプリケーション

近年ストップトフロー法が注目されている研究分野には、タンパク質のフォールディングがあります。ストップトフロー測定アクセサリーSF.3を搭載した、アプライドフォトフィジックス社製円二色性分散計ChirascanといったCDストップトフローや蛍光ストップトフロー分光器により、急速なタンパク質のフォールディングやリフォールディングを観測することが可能です。

アプライドフォトフィジックス社におけるストップトフロー測定機器について

アプライドフォトフィジックス社では、包括的なストップトフロー測定機器を製造しています。エントリーモデルであるストップトフロー測定アクセサリーRX2000は、既存の様々な分光計と組み合わせてストップトフロー測定が可能です。高性能ストップトフロー解析システムSXシリーズは、ストップトフロー測定機器の世界レベルでのベストセラーです。そして、円二色性分散計Chirascan qCDにもストップトフロー測定用アクセサリーが追加されました。

ストップトフロー法は非常に柔軟性に富んだ計測手法です。アプライドフォトフィジックス社製ストップトフロー解析システムは多くの異なる構成で測定を行うことが可能です。ストップトフロー測定機器の最も重要な要素は温度安定性です。全てのアプライドフォトフィジックス社製ストップトフロー測定機器には温度調整機構が内蔵されており、混合前の反応物溶液や反応セル内の混合液の温度を一定に制御することができます。次に、嫌気環境下でのストップトフロー測定が要求されるアプリケーションがあります。アプライドフォトフィジックス社製ストップトフロー解析システムSXシリーズには、嫌気実験用アクセサリーが用意されています。また、完全な嫌気環境が要求される場合は、ストップトフローヘッドをグローブボックス内に設定することも可能です。SXシリーズ用アクセサリー一覧はこちらをご参照下さい。

SXシリーズおよびChirascan用Pro-Dataソフトウェアは、さまざまなフィットモデルに対する1-Dフィッティングが可能です。SX/ProKおよびSX/ProK IIソフトウェアは、多波長グローバルアナリシスが可能です。