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極低温単軸引張圧縮セル
Cryostrain -テクノロジー-

興味深い実験/困難な課題

超電導および磁性の基礎研究分野において、凝縮体系の電気特性と結晶構造の関連性の解明が重要な目標となっています。これまで、原子間隔などの構造特性を連続的に調整するには、圧力セルを用いて静水圧をかける方法か圧電材料に直接サンプルを固定する方法がとられていました。しかし、前者には全結晶軸に影響を及ぼすという欠点があり、後者には負荷範囲が狭く、温度により負荷の大きさが変化するという欠点があります。もし、単純に一定の(連続的に調整しない)負荷が必要であれば、2つのクランプでサンプルを固定し、冷却前に手動で負荷をかけることができます。しかし、この場合も熱膨張差により、最終的にかかる負荷を計算することは困難です。原子間隔を変化させる最終的な方法のひとつは、結晶の化学組成を変化させることです。この方法でも、結晶に予測不能な化学的影響を与える可能性があり、全結晶軸に影響を与えるという欠点があります。

ソリューション:単軸引張圧縮セルCryostrainシリーズ

Razorbill Instruments社製単軸引張圧縮セルは、これらのテクニックを大幅に改善しました。連続的に調整可能で、温度補償された、単軸負荷をひとつの結晶方位に沿って印加することにより、構造と特性を関連付ける理論をテストする唯一のソリューションを提供します。初期バージョンのデバイスはサイエンス誌に掲載された2014年の論文でも採用されており、同様のデバイスは凝縮体系物理学者の間での標準技術となる可能性があります。

このテクノロジーが提示すること

Razorbill Instruments社製Cryostrainシリーズは、高さ1インチの空間に設置して、極低温環境下において、1mm程度のサイズのサンプルに最大10µmの引っ張りまたは圧縮負荷をかけることができます。Cryostrainにはキャパシタ方式のポジションセンサーが内蔵されており、負荷の度合いを検出することができます。さらに、ピエゾスタックは冷却による熱膨張をお互いにキャンセルするよう配置されており、温度が変化したときでもサンプルに不要な負荷がかからないよう工夫されています。

上図は単軸負荷がルテニウム酸ストロンチウムの超電導転移温度に与える驚異的な影響を示した実験データです。このデータはCryostrainの先駆けとなる技術を用いて測定されており、サイエンス誌に掲載されたものです。Hicks et al. Science Vol. 344 no. 6181 pp. 283-285

参考文献

'Piezoelectric-based apparatus for strain tuning', Hicks et al. Rev. Sci. Instrum. 85, 065003 (2014)

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