電子ビーム蒸着源 TAU
電子ビーム蒸着について
最も一般的な蒸着手法である抵抗加熱蒸着の場合、ボートの上に材料を置き、ボートに電流を流すことで抵抗熱を発生させ、材料を蒸発させます。この手法の場合、蒸着可能な材料は、ボートよりも充分に融点が低い材料に限られます。また、この手法は精密な蒸着速度の制御は困難です。
電子ビーム蒸着(EB蒸着)は、材料に電子ビームを加速衝突させることで直接加熱することができます。この加熱方法には本質的に加熱温度に上限はなく、タングステンなどの高融点材料の蒸着も可能です。また、蒸着速度を精密に制御できることも、電子ビーム蒸着装置(EB蒸着装置)の特徴です。
TAU:電子ビーム蒸着源
HEXシステム用TAUシリーズは"ミニ"電子ビーム蒸着源です。TAUを使用することでHEXシステムを電子ビーム蒸着装置(EB蒸着装置)として使用できます。材料に高電圧が印加され、そのすぐ横にあるフィラメントから放出される熱電子を材料に加速衝突させることで加熱します。大型の電子ビーム蒸着源に見られるような、電子ビーム偏向マグネットは使用しません。
TAUソースの各ポケットには、蒸気中に含まれるわずかなイオンを検出するための、"フラックスモニタリングプレート"が標準で搭載されています。ここで検出されるイオン電流値は、蒸着レートと比例関係にあり、サブモノレイヤーの膜を精密に成長できるほど高感度です。
4源同時蒸着モデルであるTAU-4には、4つのポケットにそれぞれ独立したフラックスモニタリングプレートが備えられており、同時蒸着時には各ポケットの蒸着レートをモニターすることができます。
TAUソースは材料の材質により、ロッドまたはルツボから蒸着することができます。最適な蒸着方法をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
材料とフィラメントは、冷却されたソースヘッドで囲まれていることから、チャンバーへの輻射熱を最小に抑えています。これにより他の蒸着方法よりもサンプルに近い場所で動作させることができることから、リフトオフプロセスや熱感受性の高い材料への蒸着にも適しています。また、ルツボを用いて金などの効果な材料を効果的に蒸着できます。
仕様
TAU | TAU-S | TAU-4 |
---|---|---|
ポケット数 | 1 | 4 |
最大パワー | 250W(500W:オプション) | 250W(500W:オプション) |
フラックスモニター | 標準装備 | 標準装備 |
蒸着材料 | ロッド(最大直径4mm) またはルツボ |
ロッド(最大直径4mm) またはルツボ |
同時蒸着 | 非対応 | 対応 |
冷却 | 水冷(0.5L/min) | 水冷(0.5L/min) |